生理の開始に伴い、下腹部痛・腰痛・頭痛・イライラする・悪心嘔吐などの症状を伴い、生理終了後に症状が消失または軽減するものを月経困難症といいます。
婦人科 / gynecology
ピルについて
ピルとは女性ホルモンの成分が含まれたお薬のことです。
ピルには避妊の目的以外にも、生理痛の緩和や月経周期を整えるなど、女性ならではの様々なお悩みを解消できる効果があり、当院にもたくさんの方がご来院されています。診察の際に、ピルの効果と副作用について十分に説明をさせて頂き、患者様に適したピルの処方を行っております。お薬は院内でお渡ししますので、薬剤師が丁寧に説明を行いお渡しさせて頂きます。
生理痛(月経困難症)について
生理痛(月経困難症)とは
生理痛(月経困難症)の治療
月経困難症や過多月経、またその原因となる疾患の治療として、ホルモン剤・鎮痛剤・漢方薬などを使用する薬物療法や、手術などの外科的療法がおこなわれます。原因、症状、妊娠の希望などを考慮して治療が選択されます。 ここでは、主な薬物療法についてご説明させて頂きます。
低用量経口エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP)
卵胞・黄体ホルモン混合剤は、月経困難症(一部子宮内膜症)に適応をもつLEP剤(低用量経口エストロゲン・プロゲスチン配合剤)があります。女性ホルモンの分泌を抑え、排卵と子宮内膜の増殖が抑制されることにより、経血量は減少し、また、生理痛を緩和します。
メリット
LEP剤を服用することで、女性ホルモンの分泌が低いレベルで安定し、ホルモンの変動によって起こる頭痛やイライラが抑えられます。排卵を抑えることで子宮内膜が厚くならないようにします。子宮内膜で生成される痛みの原因物質の生成を抑えることで、痛みが軽くなります。月経血の期間も量も少なくなります。
デメリット
- 軽い吐き気、頭痛などがみられることがあります。重い副作用として、血栓症に注意が必要です。
- LEP剤を服用できない場合もあります。(授乳中、年齢、喫煙、持病など)
半年を目安に、副作用が出ていないか定期的に採血などの検査を行います。気になる症状がある方はその都度検査致しますので、ご遠慮なくお申し出ください。
服用方法
毎日1錠、ほぼ同じ時間帯に飲んでください。食事と関係なく空腹時でも飲むことができます。
定期的にお薬によって4日〜1週間飲まない期間があり、その間に生理のような出血が見られることが一般的です。
当院で処方しているお薬
- ルナベル配合錠ULD
- フリウェル配合錠LD
- ヤーズフレックス配合錠
費用について
治療を目的としたピルの処方は、保険診療となります。
初診時は、超音波などの検査を行いますので、費用は4000円〜8000円程度です。
再診は、お薬の料金も含めて2500円〜3500円程度です。
※費用は検査内容、処方されるお薬によって変動しますので、予めご了承下さい。
子宮内黄体ホルモン放出システム(IUS)ミレーナ
IUSは、黄体ホルモンを子宮内に持続的に放出する子宮内システムです。医師が子宮の中に挿入します。子宮内膜に直接作用して増殖を抑えることにより経血量を減少させ、痛み物質の生成を抑えて月経痛を緩和します。装着後2~3か月間は月経時期以外の少量出血などがみられる場合もあります。1度装着すると最長で5年間効果が持続します。
※月経困難症、月経過多に用いる場合は保険適応です。
鎮痛剤、漢方薬など
鎮痛剤は月経時に発生する痛みの原因物質の合成を抑え、痛みを和らげます。からだの状態に合わせて、体調を整えるための漢方薬を使用することもあります。
避妊について
低用量ピル(経口避妊薬OC)
OCは、現在日本で使える避妊法の中で女性が主体的に使え、高い避妊効果が期待できる避妊法の1つです。OCは、主に排卵を抑えて妊娠を防ぎます。OCに含まれる2つの女性ホルモン、卵胞ホルモンと黄体ホルモンが脳下垂体にはたらきかけて卵胞を成熟させるホルモンの分泌を抑えます。そのために卵胞は成熟せず、排卵が起こらなくなり、避妊効果を発揮します。
※避妊目的での処方は自費となります。
メリット
服用をやめると速やかに自然な月経周期が回復します。妊娠を希望する場合は、OCを中止すれば妊娠可能です。
デメリット
- 軽い吐き気、頭痛などがみられることがあります。重い副作用として、血栓症に注意が必要です。
- 服用できない場合もありますので、医師にご相談ください。(授乳中、年齢、喫煙、持病など)
半年を目安に、副作用が出ていないか定期的に採血などの検査を行います。気になる症状がある方は、その都度検査致しますので、ご遠慮なくお申し出ください。
服用方法
- 月経の始まった日から1日1回1錠ずつ毎日ほぼ一定の時刻に数字の順番通りに28日間連続して服用します。通常、シートの4段目を服用している間に、月経のような出血が起こります。出血が終わっていても続いていても、28錠すべて服用し終わったら、続けて新しい錠剤シートを服用し始めます。
- 2日以上連続して飲み忘れがあった場合は服用を中止し、次の月経を待って新しいシートで再び服用を開始してください。なお、飲み忘れにより妊娠する可能性が高くなりますので、その周期は他の避妊法を使用してください。
- 性感染症は防げませんので、必ずコンドームと併用してください。
当院で処方しているお薬
- トリキュラー錠28
- ファボワール錠28
費用について
「トリキュラー錠28」「ファボワール錠28」は、避妊を目的としたピルで、自費診療となります。
費用はお薬の料金(1ヵ月分)を含め、5000円〜6000円程度です。
※費用は検査内容、処方されるお薬によって変動しますので、予めご了承下さい。
ミレーナ(IUS)
ミレーナは、子宮内に装着して、黄体ホルモンを持続して放出する子宮内システム(Intra Uterine System)です。ミレーナの本体はT字型をしていて、柔らかいプラスチックでできています。T字型の部分から、レボノルゲストレルという黄体ホルモンがゆっくり持続的に放出されます。黄体ホルモンは子宮内膜の増殖を抑える働きがあるため、内膜は薄い状態となり、妊娠の成立(受精卵の着床)を妨げたり、子宮の入り口の粘液を変化させて精子が膣の中から子宮内に侵入するのを妨げたりすることで避妊効果を発揮します。一度装着すれば最長で、5年間効果が持続し、避妊の効果があります。避妊として使用する場合は自費診療となります。性感染症は防げませんので、必ずコンドームと併用してください。
※避妊目的での処方は自費となります。
定期検診について
医師の指示により、定期的に検診を受けてください。通常は装着の1か月後、3か月後、6か月後、1年後、それ以降は状況に応じ1年に1回以上の検診が指示されます。装着後5年を超えないうちに交換もしくは除去する必要があります。
子宮内避妊具(銅付加IUD)
5年に1度の交換で避妊が可能です。
メリット
授乳中も使用できます。
デメリット
月経を軽くする効果はありません。
アフターピル(緊急避妊薬)
避妊に失敗したとき、または避妊しなかった性交後、緊急に避妊を行うときに用いるお薬です。
避妊目的での処方は自費となります。
72時間(3日)以内の服用が必要です。処方希望の方は、予め電話でお問い合わせください。
※直接ご来院いただいても対応できかねる場合がございます
効果について
確実な避妊ができなかったセックスから、72時間(3日)以内に服用することで、排卵の抑制、遅延、精子の子宮内侵入阻止などの作用により、妊娠を回避します。妊娠を確実に100%阻止できるものではありません。
服用方法
できるだけ速やかな服用が必要となりますので、1回1錠をその場でお飲み頂きます。
プライバシーに配慮し、個室でお薬のご説明をしながら服用して頂きます。
服用後の注意
- このお薬を飲んだ後に、不正出血や頭痛、吐き気、倦怠感、眠くなるなどの月経時に見られる症状が現れることがあります。
- 月経周期や出血の状況(日数や量)に一時的な変化がみられることがあります。
避妊法と避妊効果
理想的な使用では、経口避妊薬(OC)で99.7%、ミレーナ(IUS)で99.8%、子宮内避妊具(IUD)で99.4%の確率で避妊ができます。経口避妊薬は飲み忘れを含めた一般的な使用で91%となります。アフターピルの避妊の確率は85%となり、OC・IUS・IUDに比べ低いです。アフターピルは、あくまでコンドームが外れたときや無防備なセックスをしてしまった場合など、万が一のときに身を守る手段として使用するものです。計画的かつ確実に避妊するためには、普段から低用量ピルを使用しつつ、性感染症対策としてコンドームを併用することをおすすめします。
生理周期移動
試験や旅行などの理由で生理周期を調節したいとき、アスリートや芸術家などが月経随伴症状や月経前症候群など月経に関連した症状を避けるため生理周期をコントロールしたいとき、お薬によって、生理周期を調節することができます。
生理周期調節は、生理開始直前になると、ずらすのが困難になる場合がございますので、早めのご受診をお勧め致します。
※生理周期調節の処方は自費となります。
副作用について
- 軽い吐き気、頭痛などがみられることがあります。重い副作用として、血栓症に注意が必要です。
- 服用できない場合もありますので、医師にご相談ください。(授乳中、年齢、喫煙、持病など)
Q&A よくある質問
- 女性の先生に相談したいです。いつなら診てもらえますか?
- WEBから予約が可能です。医師の名前が赤字になっている診察予約をお取りください。
- 高校生の娘の生理がつらそうです。どこでどのように受診すればいいでしょうか??
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お母様とご一緒に、婦人科をご受診ください。お薬を使うかどうか、生活指導も含めた診察となります。
原因疾患がない「機能性月経困難症」は、初経後1-2年から始まることが多いといわれています。
発症のメカニズムは、
- プロスタグランジンの過剰分泌子宮の内側で剥がれ落ちた子宮内膜を体の外に出すために子宮を収縮させるプロスタグランジンが出てきます。これが過剰に分泌された結果、子宮が収縮しすぎて子宮の血流が悪くなり、結果、痛みが起こるとされています。
- 子宮口が狭い若い方や出産経験のない方は子宮と膣をつなぐ部分が狭くてかたいためスムーズに月経血を送り出せずに痛みが起こります。また子宮口が狭いことから月経血が逆流して卵管を通って骨盤内に流れ込み、月経血に含まれるプロスタグランジンによって痛みが出ることも考えられます。
- 心理的要因「月経は痛い」「月経は嫌」「月経はうっとうしい」などの思い込みからおこることもあります。ストレスが原因となることもあります。
- 運動不足や冷え運動不足や冷房・薄着などにより血流を悪くすることも痛みをおこりやすくなる、といわれています。
※小学生・中学生の患者様は、診察の結果によって小児科をご案内する場合もございます。 - 避妊薬は産後いつから使えますか?
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経口避妊薬(OC)・ミレーナ(IUS)・子宮内避妊具(IUD)は出産後6週間以降、または月経再開後、医師が子宮の回復に問題ないと診断した時です。授乳中は、IUDをお勧めします。
産後の体の状態にもよりますので、まずはご受診してご相談ください。 - 生理の量がすごく多くて心配です。
- まずは、病気のせいではないかお調べします。貧血があるようでしたら、鉄剤を服用していただくこともあります。現在の出血がひどければ、止血剤を使用することもあります。LEP剤(低用量ピル)・ミレーナ(IUS)は、月経血の量を減らす働きがあります。鎮痛剤の中には、過多月経を改善する働きがあるものもあります。 月経量が多い(過多月経)のご相談で受診される方もいらっしゃいますので、安心してご受診ください。
- 重い副作用の血栓症かもしれないと思ったら、どうすればいいでしょうか?
- 受診してご相談ください。産婦人科医師がお話を伺い、副作用が疑われるようでしたら、血液検査を行います。その結果、血栓の副作用の症状の疑いがあるようでしたら、関連施設への紹介をし、診断、治療を行うことができますので、ご安心してご相談ください。
- 生理痛だけでも病気になることはありますか?どんな病気がありますか?
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月経困難症のうち、原因疾患があるために起こる「器質性月経困難症」は、初経後5年以上経過してから発症するといわれています。
原因となる疾患は、
- 子宮内膜症子宮内膜症とは、骨盤内や卵巣など子宮以外の場所で子宮内のような組織が増殖する病気です。増殖した組織は子宮内膜と同じように、月経がくると崩れて出血します。本来の子宮内膜は出血とともに膣を通ってカラダの外へ出されますが、子宮以外の場所で増殖してしまった組織には出口がない為、おなかの中にたまって炎症を引き起こし、激しい痛みなどの症状を引き起こします。
- 子宮腺筋症子宮腺筋症とは、子宮内膜が子宮の筋肉の層にもぐりこみ増殖する病気です。その組織が増殖を繰り返すと周りの筋肉がかたくなり、子宮の壁もどんどん厚くなって、やがて子宮全体が大きくふくらんでいきます。症状としては、激しい痛みにくわえ、出血量も増えることから貧血になることもあります。
- 子宮筋腫・・子宮筋腫とは、子宮の壁を形作っている筋肉の一部が以上日増殖し、こぶ(良性の腫瘍)ができる病気です。腫瘍が大きくなるにつれ、出血時にレバーのような血のかたまりが混じってでてくるのが特徴です。